存在

3/15
前へ
/35ページ
次へ
仕事部屋?  もしかして疲れてそのまま寝てしまったのではないかと思い、 ノックもせずにソッとドアを開け、 ドアの隙間から顔を覗かせ中の様子を伺う。 初めてに思わず足を進め部屋の中を見渡してしまった。 その部屋はユキが仕事部屋に使っているだけあって 難しそうな本がびっしりと並んだ本棚と机が一つ。 机の上には仕事に使っていると思われるノートパソコンと出しっぱなしのファイル。 ただそれだけのユキらしいシンプルで面白みひとつない部屋。 でもここにもユキの姿がなかった。 「シャワーでも浴びているのかな?」 このマンションには寝室とこの部屋だけ。 ココに居ないということはシャワー以外考えられず、 私は思い直し仕事部屋を後にした。 朝から要らぬ心配をしてしまったと少し脱力感のようなものを覚え、 ため息が漏れる。 何だか疲れリビングのソファーに座り一息つこうと近づいた瞬間、 薄めの布団を一枚かぶり、 サ無性に身を縮め眠るユキの姿が飛び込んできた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1550人が本棚に入れています
本棚に追加