存在

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なんで、 こんなところで!?  不思議に思い、 少し近づいて様子を伺ってみると微かに匂うアルコール臭。 思わず匂いに鼻を覆う。 テーブルの方に目をやると空になっている数本のビールの缶が雑に転がっている。 珍しいな、 ユキが仕事の後にこんな風に飲むなんて……。 今までにないユキの行動に違和感を覚えながら、 私は空のビール缶を集め片づけにかかる。 「キャッ!」 でも手いっぱいに缶を持ち過ぎ、 腕の中でバランスを崩した缶たちが一気に崩壊するように零れ落ちていく。 咄嗟に堪えようと力を込めてみたが、 数本救っただけで殆どの缶が腕から落ちていってしまった。 「最悪……」 前かがみになって落としてしまった缶を集めてゆく。 思った以上に缶は床に散らばってしまっていた。
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