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転んだ拍子に落としてしまったのか、
咲穂の周りには俺が昨日飲んだと思われる缶ビールが散乱していた。
「あ、
缶を片づけようと思ってたら落ちしちゃって……。
残ってビールで濡れたところを踏んじゃったらしく滑っちゃった」
心配そうに訊ねる俺
に咲穂は恥ずかしそうに赤らめた顔を隠すように俯(うつむ)き口ごもる。
咲穂の言葉に足元に転がる缶ビールを見る。
――あ……。
どうやら飲みきっていたと思っていたのに中に少しだけ残っていたらしい。
完全に俺のせいだ……。
咲穂に悪いことをしてしまったと謝ろうとした瞬間
「……痛い」
咲穂の悲鳴に近い声が耳に刺さ
り驚いて見ると右の足首辺りを押さえしゃがみ込んでいた。
「どこか怪我したのか?」
俺は慌てて咲穂の横に膝間付き、
その足首に触れようとしたが咲穂に「大丈夫」と軽く手で遮られてしまった。
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