存在

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――… ―… 俺はたいしたことないと言う咲穂を半ば強引に車に乗せ、 会社まで送ることにした。 もちろん咲穂には大げさだと断られたが、 怪我の手当てもして時間も時間で仕方なく了承してくれた。 何とか会社の傍までは来たが 「ここでいい……」 あと少しで会社という所で信号待ちをしていた時に咲穂が急に言い出し、 止める間もなくシートベルトを外して車を降りて行こうとする。 「おい!」 信号を気にしながら車を降りようとする咲穂を止めにかかると、 俺の言葉にドアを閉める手を止め、 そしてまた少しだけドアを開き、 顔を覗かせると 「……ありがとう」 少し恥ずかしそうに笑みを漏らす。 不意打ちの咲穂の表情に驚き見入っている俺に「信号」 と前の方を指差して「じゃあ」と言葉を残しドアを閉めた。
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