存在

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急に背後から声がしたかと思うとガシっと両肩を掴まれ、 ひょっこりと朋花ちゃんが私の顔を覗き込んできた。 「えっ!?」 あまりの至近距離に思わず、 一歩二歩後退りしてしまう私に朋花ちゃんはニコニコと笑いながら見てくる。 「見てましたよ!  今の人ですか?  例の彼って……」 パッと表情を輝かせ興味津々な様子で私に詰め寄ってくる。 まさか見られていたとは……。 見られたのが凜子ではなく朋花ちゃんだったのが不幸中の幸いだったのかもしれない。 私としては見られたくない場面だったし、 今はあまりユキの事を語りたくはなかった。 「えっと……」 当たり障りのない言葉を探しながら、 ゆっくりと後退っていると、 不意に後ろを歩く人にぶつかってしまった。 「ごめんなさい!  大丈夫ですか?」
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