再会

3/25
前へ
/25ページ
次へ
でも時間が経つにつれ……、 帰る頃には、 また気持ちが落ちてしまっていた。 ――何となくマンションに帰りたくない。 その気持ちが私の足をマンションとは逆の方向に向かせる。 行き先なんて決まってないし、 自分でも分からない。 ただ歩き続け、 ふと足を止めるとそこは神崎さんのお店の前で、 自分でもなぜここに来たのか分からなかった。 もしかしたらいつも神崎さんと話していると 心が和むからなのかもしれない。 でも中に入ろうとしたがユキとの約束を思い出し、 店の前にしばらく立ち尽くす。 「帰らなきゃ……」 そう自分に言い聞かせるように言ったのに、 なぜか言葉とは裏腹に手が伸び、 お店のドアを押し開けてしまった。 「えっ? いらっしゃい」 いつもと変わらぬ笑顔で迎え入れてくれる神崎さん。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1196人が本棚に入れています
本棚に追加