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でも時間が経つにつれ……、
帰る頃には、
また気持ちが落ちてしまっていた。
――何となくマンションに帰りたくない。
その気持ちが私の足をマンションとは逆の方向に向かせる。
行き先なんて決まってないし、
自分でも分からない。
ただ歩き続け、
ふと足を止めるとそこは神崎さんのお店の前で、
自分でもなぜここに来たのか分からなかった。
もしかしたらいつも神崎さんと話していると
心が和むからなのかもしれない。
でも中に入ろうとしたがユキとの約束を思い出し、
店の前にしばらく立ち尽くす。
「帰らなきゃ……」
そう自分に言い聞かせるように言ったのに、
なぜか言葉とは裏腹に手が伸び、
お店のドアを押し開けてしまった。
「えっ?
いらっしゃい」
いつもと変わらぬ笑顔で迎え入れてくれる神崎さん。
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