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日頃、
我慢ばかりさせられているんだから
少しくらいは咲穂も俺の気持ちを知ればいいとも思った。
黙り込む咲穂に俺は布団を頭まで被り、
眠り直そうとするフリをする。
「本当にユキには悪いとは思うけど、
今回だけでいいからお願い!
もし一緒に行って彼氏のフリをしてくれるなら
代わりに何でも言うこと聞くから」
被った布団を引っ張り眠るのを必死に阻止しながら、
咲穂が訴えてきた。
――面白いくらい俺の思い描いていたシナリオ通りに……。
「今言ったことに嘘はないよな?」
俺は待ってましたとばかり被っていた布団を払いのけ起き上がると、
真っ直ぐ見据え咲穂に念を押す。
「――うん」
俺の様子に躊躇いがちに頷くが、
それから先の言葉が出てこない。
「時間ヤバいんじゃなかったっけ?
――で、どうする?」
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