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パニックに陥りながら思わず聞き返しかけた瞬間、
一斉に拍手が巻き起こり、
私の言葉は掻き消されてしまった。
一瞬、
巻き起こった拍手に気を取られ朋花ちゃんの方に視線を移すが、
やっぱりユキの言葉が気になり、
またユキに視線を戻す。
でもユキは何事もなかったかのように笑顔で朋花ちゃんに拍手を送っていた。
勇気を出してユキに訊こうとも思ったが、
もしかして私の聞き間違えかもしれないと聞けずにいると
「咲穂……」
急に名前を呼ばれ、
その声に過剰に反応していると、
ユキは左斜め前を軽く指さし目配せしてきた。
動揺しつつユキの指先を目で追うと、
その先には朋花ちゃんが居てちょうど目が合ってしまった。
「咲穂さん!」
「おめでとう」
朋花ちゃんは私に気づくと嬉しそうに笑顔を見せ軽く手を振ってくれ、
そんな朋花ちゃんに私は笑顔で祝福の言葉を口にする。
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