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一瞬、
何が起きているのか、
全く理解できなかったが夢だと思っていたのに、
目が覚めたにもかかわらず今もリアルな咲穂の感触、
あの甘い匂いがまだしっかりとある。
そして俺の頬をくすぐる柔らかい髪。
何より一番驚かされたのは俺の唇がしっかりと咲穂の首筋に当てられ温もりが感じられたこと。
やっと寝ぼけていた頭がゆっくりと動きだし、
さっきまでのことも夢ではなく現実だったのだと理解することができた。
多分、
離さなきゃいけないけど離したくはない。
咲穂も驚きすぎているのか差ほど暴れないし、
いっそ寝ぼけたフリをしてこのままいつまでも抱き締めていたい――
一度は開けた目をまた閉じたくなってしまった。
「ユキ、
起きてよ!
時間に遅れちゃう!」
彼女の言葉が首筋に触れていた俺の唇に振動するように伝わってきて、
目を閉じようとした俺をまた現実へと引き戻す。
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