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この間、
神崎はそんなこと言ってなかったのは咲穂が居たせいか?
それともわざと言わなかったのだろうか。
神崎の真意も気になったが
今は佐藤の話の方が気になっていた。
*
ユキからの電話が切れ、
私はキッチンのテーブルに目を移す。
そこにはすでに夕飯の準備ができており、
ユキの帰りを待っていたのだ。
「もうちょっと早く連絡してほしかったな……」
誰もいない部屋でつい愚痴を溢しながら
おかずの卵焼きを一つ摘み口に運ぶ。
最近、
ユキが卵焼きは甘めではなく塩味が好きだと知り、
今日初めて作ってみたものだった。
「美味しいじゃない」
自画自賛してみる
――本当はユキから聞きたかった言葉。
テーブルに並んだ二人分のご飯を眺め
溜め息をつくとユキの分をラップして冷蔵庫に仕舞った。
そして一人、
テーブルにつき食べ始めるが味気ない。
一人のご飯がこんなにも味気ないものだと初めて知った。
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