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気まずい……。
相原が何も聞いてこないから余計に気まずくて仕方がなかった。
いっそ自分から話しかけてみようと思ったが
話題が見つからず困っていると、
急に相原が足を止め急に俺の方に向き直り
「各務さんも
意外と不器用なんですね。
あんな風に女の人が
会社まで押し掛けてくるなんて……、
もう少し上手くやらなきゃだめですよ」
あんな場面を見ても動じることなく、
シレっと話し出す相原に女の怖さを感じてしまう。
何となく分かってはいたが、
やっぱり相原は侮れない。
日頃は見せない相原の女の顔を見たような気がした。
年下の、
しかも相原に言われてしまうとは思わなくて、
つい苦笑いを漏らす俺に
「行きましょう」とにっこりと微笑み、
また歩き出した。
事務所に戻っても気になるのは愛子のこと。
愛子は一体、
何をしに来たんだろう。
なんで今頃、
俺の前にまた姿を現したんだろう。
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