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さっきの佐藤の様子からして
愛子が帰ってきていたことは知っていたようだった。
それなら何故、
佐藤は俺に話してくれなかったのだろうか。
もう疑問ばかりがグルグルと渦巻き、
早く佐藤に愛子のことを聞きたいがなかなか戻ってこない。
苛々としながら入口の方に目を向けていると見ていると、
少し息を弾ませ時間ギリギリに佐藤は戻ってきた。
「さっ……」
すぐさま立ち上がり佐藤の方に行こうする俺に
佐藤は手を前に出し制する。
そして珍しく真剣な顔で自分の席に行くと
そのまま仕事をしだしてしまった。
今は聞いてほしくないのか、
それとも仕事中だからなのか分からないが、
こんな佐藤は久しぶりで俺は仕方なく諦めて仕事をすることにした。
仕事中の佐藤はいつもとは変わらない様にも見えたが、
なぜか俺とは目を合わそうとしない。
それが余計に気になり、
俺は仕事に集中することができなかった。
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