1580人が本棚に入れています
本棚に追加
その声に咲穂が過剰なまでに反応し、
身体をビクリと跳ねさせたかと思うと俺を力いっぱい押し退けた。
そして慌てて女たちに背を向けるたかと思うと
口元を手で隠すように押さえながら真っ赤な顔で俯むきだす。
声の主である女の方に視線を向けると咲穂同様、
式だけを見に来た感じの二人組の女が
こちらをチラチラと見ながら何やらコソコソと話していた。
俺は恥ずかしがる咲穂を隠すように体を盾にすると、
そんな二人を軽く睨みつける。
うち一人が俺と目が合うと、
二人は逃げるように駆けていってしまった。
「咲穂、行ったぞ」
二人の姿が見えなくなったのを確認すると、
ずっと俯き続けている咲穂の肩に軽く手を置き、
声をかける。
瞬間、
パシッという乾いた音と、
そして手に痛みを感じる。
最初のコメントを投稿しよう!