戸惑い

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そして部屋に入ると迷わず寝室に足を向け、 ベッドの側に行く。 朝、 咲穂が寝て起きたままのベッド。 俺はベッドに腰を下ろすと咲穂が寝ていた/場所を手で触れてみる。 当たり前だがもう温もりはなくシーツはひんやりとしている。 でも俺にはいつもベッドで気持ち良さそうに寝息を立てている咲穂の姿が見え、 ゆっくりとベッドに横たわる。 シーツからは微かに残る咲穂の甘い香りが漂ってきて俺は静かに目を閉じ、 その香りを味わう。 さっきまで咲穂をこの腕に抱き、 そしてキスしていた。 とても甘く、 深く、 そして長いキス。 ――まるで幸せな夢の中にいたような時間だった。 何度、 気持ち良さそうに寝息を立てる咲穂を見て堪えただろう……。 目を瞑り咲穂の香りに包まれるとリアルにさっきの記憶が甦る。
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