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たったそれだけなのに俺は、
まるで恋を知ったばかりの中坊のように幸せを感じてしまっていた。
そんな自分を恥ずかしく感じる反面、
それがすごく嬉しく感じてしまった。
今まで感じたことのない暖かい気持ち――彼女をとても愛しく思う。
気づくとさっきまでの苛立ちもいつの間にか消え、
彼女に八つ当たりしてしまったことに深く落ち込む。
電話をかけてみようか……。
彼女に謝りたくて、
そして彼女が今どこにいるのか気になって俺はポケットから携帯を出す。
でも番号まで出したが彼女の怯えた顔が脳裏を横切り、
俺は携帯を静かに閉じた。
なんて言ったらいい……。
電話を掛けることもできず、
そんなことを考えていると寝不足にも後押しされ、
俺は携帯を持ったままいつの間にか深い眠りに落ちてしまった。
*
結局、
容子にも電話をすることもできず私は暫く一人ブラブラ街を歩いた。
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