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何とかマンションのエントランスまで来た私は身震いをしながらカバンから鍵を取り出す。
開けて中に入ろうと思ったが、
不意にユキの顔が横切り躊躇う。
ユキはもう帰ってきているんだろうか……。
どんな顔をして会えばいいんだろうか……。
私はマンションに戻って来たものの、
鍵を開けて中に入ることができず一度は出した鍵をカバンに戻した。
でも、
こんなずぶ濡れの状態じゃどこにも入ることはできず、
外に目を向けてみると一度は止んだ雨がまた降りだしていた。
「寒い……」
エントラスの中は雨にも降られないし、
外にいるよりは幾分か寒さを凌ぐことはできたが、
やはり濡れているせいか震えが止まらない。
とりあえず一目を避けるように隅っこで身を縮めるようにしゃがみこみ
寒さを凌ぐしかなかった。
そして降りだした雨を見つめ、
ふとさっきのことを思い返す。
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