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その様子にやっと俺もホッとし、
ベッドの足元に力なく座り込み、
一息つけたと思った矢先に咲穂のか細い声が俺の耳をかすめた。
「寒い……」
その声に俺が振り返り、
咲穂の様子を伺うと確かに寒そうに震えている。
熱のせいか――
身体や顔は異常なくらい熱いのに寒気を感じているようだった。
「おい、
大丈夫か?」
俺の手が咲穂の腕を掴んだ瞬間、
微かに表情が緩み
「温かい」
そう呟くと布団の中から手を出して俺の腕にしがみついきた。
咲穂の突然の行動に俺は驚き、
手を引っ込めようとしたが離してはくれない。
何より俺の手をしっかりと掴み、
震える咲穂をまた愛しく思ってしまった
そして震える咲穂を見てついよからぬことが脳裏を横切る――
いっそ抱き締めて温めてみようか。
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