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一瞬、
何が起こったのか分からなかったが、
顔を真っ赤にして俺を警戒した様子の咲穂を見てすべてを理解できた。
――現実だと思っていたことが夢だったんだと知った様なそんな感覚に気持ちが落ちてゆく。
「眠い……、帰るぞ」
一気に気分が落ちた俺は少しぶっきらぼうに言うと
何事もなかったかのように咲穂から離れ、
さっさと車に乗り込む。
咲穂もしばらくして静かに車に乗り込んできて、
シートベルトをするとまた俯いてしまった。
俺はそんな咲穂に苛立ちを感じ、
アクセルを深く踏み込み車を急発進させた。
極度の寝不足のせいなのか、
それとも咲穂の行動に過剰な期待をしすぎたせいなのか。
俺は自分の感情をコントロールできないくらい苛立っていた。
咲穂は俺の荒い運転に必死に堪えながらも時々、
小さく怯えた声を上げる。
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