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その声にさえも俺はイライラしてしまう――もう限界だった。
俺は車を荒々しく左に寄せ車を止める。
「ひゃっ!」
突然のブレーキに咲穂の身体は前後に大きく弾み悲鳴に近い声を上げた。
俺はギアをパーキングに入れるとハンドルに項垂れるようにもたれ深く息を吐く。
そしてそのまま視線だけを咲穂に向けると
「降りて……」
少し怯えた顔をする咲穂に俺は冷たく言った。
「え?」
咲穂は突然の言葉に理解しきれないらしく分かりやすいくらいに
動揺の色を滲ませながら目を泳がせている。
「早く!
……じゃないと何をするか分からないぞ!」
ダンッ!
とハンドルを力任せに叩き凄むと咲穂はビクッと身を縮ませ、
もたついた手つきでドアを開けだす。
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