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そしてまるで逃げ出すように車から降りるとすかさずドアを閉め、
怯えた顔で俺を見て後退りした。
*
私には急にユキの機嫌が悪くなった理由が分からなかった。
急に車に乗せられたかと思うと途中で無理矢理降ろされ、
一人でどこかに行ってしまった。
ユキの車はすぐに視界から消え、
でも音だけはまだ聞こえてくる。
しばらくその場に呆然と立ち尽くし頭の中を一生懸命、
整理しようしたが無理だった。
「喉渇いた……、
とりあえず何か飲もう」
緊張していたせいか異常なまでに喉の渇きを覚え、
近くのコーヒーショップに入ると冷たいコーヒーを注文し、
窓際の席に座ると一気に半分くらい飲んでしまった。
「はぁ……」
私は喉を潤すと、
やっと一息つき頬杖をつきながら窓の外に視線をやる。
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