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休日の、
この時間はやはり仲良く寄り添うように歩く恋人たちが目につく。
そういえばもう何年もこの風景を眺める側になっている私。
あんな風に誰かと肩を並べ歩いたのはいつだったろうか。
――つい考え込んでしまう。
そして不意に脳裏に横切ったのは、
あの男の顔。
良平ではなく、
意外にもユキだった。
そんな自分に驚き思わず目を見開く。
そういえばユキの部屋に引っ越した日に二人で買い物に出て、
私はデートをしているんじゃないかと錯覚を覚えたのを思いだした。
あんなに嫌だったのに今はそれなりにユキとの生活に慣れ、
そして今は異常なまでに落ち込んでいる自分に気づく。
「や、
あり得ないし」
否定しながらも微かな胸の高鳴りを感じ、
私はかなり動揺していた。
だってまるで『恋』でもしているような、
あの懐かしい高鳴り……。
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