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少し寂しさを感じながら辺りを見回すと、
やっぱり幸せそうなカップルばかりが目についてしまう。
慣れっこのはずだったのに今日はやけに寂しく、
胸に染みてしまう気がした。
*
咲穂を車から降ろした俺は、
しばらく憂さ晴らしに車を走らせマンションの駐車場に戻ってきていた。
「くっそ!」
ダンッと思いっきりハンドルを殴る。
久々に車を飛ばしてみたが苛立ちは消えず、
逆に増すばかりのように感じさえした。
勝手に期待して勝手にがっかりして咲穂に苛立ち、
そして怯えさせてしまった。
はっきり言って俺の我がままで、
八つ当たりで、
咲穂は何一つ悪くはない。
それなのに俺ときたら……、
苛立ちを堪えるように拳を強く握りしめる。
あまりの自分の不甲斐なさに呆れ、
俺は深いため息をつくと重い腰を上げ車から出てエレベーターで部屋まで上がった。
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