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一瞬、
声をかけようかと思ったが、
さっきの様子からしてソッとしておいた方がいい気がして
俺はその横を通りすぎ風呂場へと向かった。
咲穂だって俺に気づいているはずなのに振り向くどころか何の反応も示さなかった。
そんな咲穂の訳の分からない態度に少し腹立たしささえ感じてしまう。
でもすでに一時を回っていて、
こんな時間までテレビを見ている咲穂のことが気になって仕方なく、
俺は早々に風呂を出た。
風呂を出てリビングへと足を向けると
まだリビングからはテレビの音が聞こえてきて
まだ起きてるのかと思わずため息が漏れてしまう。
「咲穂……」
俺はわざと勢いよくドアを開け咲穂に寝るように言おうとしたが、
その言葉をすぐにのみ込んでしまう。
そこには点けっぱなしのテレビの前で体育座りのまま俯せ、
うたた寝している咲穂の姿。
その姿にやっぱりか、
と内心思いながらため息をつき咲穂の側に近づく。
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