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ユキが目を覚まさなかったことにホッとしながら
私は朝ごはんを作りにキッチンへと向かった。
ユキは作らなくていいと言ったが、
最近気持ちの変化からか少しずつ作るようになってきていた。
朝は決まってトーストとコーヒー、
それに目玉焼きかスクランブルエッグにしていた。
家は全くといっていいほど作らなかった私には時間のない朝はこれが精一杯だった。
それにユキは文句ひとつ言わず、
毎日食べてくれる。
「おはよう」
ちょうど作り終えた頃にまだ少し眠そうな顔のユキが起きてきた。
私は「おはよう」
とやや小さめの声で言いながら、
見るとついユキの胸板に目がいってしまう。
昨日、
大胆にも自ら擦り寄せたユキの胸板――。
つい思い出して頬が熱くなる。
そんな私を不思議そうに見るユキの視線に気づき、
「着替えてくる」
と私は逃げるように寝室に駆け込んだ。
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