意識

2/17
前へ
/17ページ
次へ
寝室を出た俺は水を一杯飲み気持ちを落ち着かせてから、 シャワーを浴びに行った。 さっきの咲穂の行動は何? ――シャワーを浴びながらずっと俺は違和感を覚えていた。 俺がシャワーを浴びに行こうとベッドを出ようとした瞬間、 咄嗟に掴まれた腕。 あの何か言いたげな目で俺を見る咲穂。 熱のせいで少し潤んだ目に赤みを帯びた頬がやけに艶かしく感じ、 思わず抱き締めてしまいそうになった。 でもさっきのことが脳裏に横切り、 また同じことを繰り返すところだったと俺は必死に気持ちにブレーキをかけた。 なのに熱のせいか、 やけに素直に俺の言葉に頷き布団から顔を覗かせ、 俺を見る咲穂を愛しく思ってしまった。 十分シャワーで熱を治め咲穂の待つ寝室へ戻ろうと思ったが、 リビングに入った瞬間、 つけた覚えのないテレビの音が耳をかすめる。 俺は驚き、 目を移すとそこには布団に包まれながらソファーの上で膝を抱えテレビを見ている咲穂がいた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

930人が本棚に入れています
本棚に追加