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寝室を出た俺は水を一杯飲み気持ちを落ち着かせてから、
シャワーを浴びに行った。
さっきの咲穂の行動は何? ――シャワーを浴びながらずっと俺は違和感を覚えていた。
俺がシャワーを浴びに行こうとベッドを出ようとした瞬間、
咄嗟に掴まれた腕。
あの何か言いたげな目で俺を見る咲穂。
熱のせいで少し潤んだ目に赤みを帯びた頬がやけに艶かしく感じ、
思わず抱き締めてしまいそうになった。
でもさっきのことが脳裏に横切り、
また同じことを繰り返すところだったと俺は必死に気持ちにブレーキをかけた。
なのに熱のせいか、
やけに素直に俺の言葉に頷き布団から顔を覗かせ、
俺を見る咲穂を愛しく思ってしまった。
十分シャワーで熱を治め咲穂の待つ寝室へ戻ろうと思ったが、
リビングに入った瞬間、
つけた覚えのないテレビの音が耳をかすめる。
俺は驚き、
目を移すとそこには布団に包まれながらソファーの上で膝を抱えテレビを見ている咲穂がいた。
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