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咲穂が何を考えているのか分からず、
落ち着かなさを感じながら俺は寝返りを打つように背中を向ける。
でもすぐに咲穂の手がソッと俺の背に触れ「寒い」
と小さく呟くのが聴こえた。
その声に俺はすぐに振り返り微かに震える咲穂に恐る恐る手を伸ばそうとした瞬間、
咲穂が自ら俺の懐に潜り込むように身体を寄せてきた。
熱のせいで熱を帯びた咲穂の体温がリアルに感じられる距離。
俺が咲穂の背中に腕を回すと、
咲穂も俺の胸に額を寄せる。
それを合図に俺は咲穂を抱く腕に力を込め、
抱き締めると、
咲穂がさっきみたいに俺の服を掴むのを感じた。
俺は咲穂の体温を感じながら静かに目を閉じる――すごく幸せだった。
*
目が覚めたら、
またユキは私をしっかりと抱き締めていてくれた。
なんだかすごく心地よくて、
安心できて思わず由貴の胸に顔を擦り寄せてしまう。
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