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「ん……、
咲穂?
起きたのか?」
ユキの大きな手が私の頭を撫で、
そして熱が下がったかを見るように私の額に触れる。
でも私が何の反応も答えるもことなく息を潜め寝たフリを決め込む。
ユキは暫くして私の下から腕をソッと抜き、
物音をたてないように静かに部屋を出ていってしまった。
私はユキが出ていったのを確認すると、
すぐに目を開き深く息を吐くと
寝固まった背中の筋肉を伸ばすように思いっきり伸び上がる。
そして体にまだ残るユキの温もり、
感覚を思い出しながらユキの寝ていた場所に寝返りをうつように移動する。
瞬間、
フワッとユキの香りが鼻を掠め、
またユキに抱き締められているような感覚を覚え、
つい顔がほころんでしまう。
なんでだろう――
またユキに抱き締められたいって思った。
もしかして私………
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