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帰ってきてからずっとユキの様子がおかしい。
ご飯を食べている時も私の話にも上の空で、
何度も私の話を聞き直していた。
そしていつもなら私が片づけをしている間、
テレビを見ながらビールを飲んだりして寛(くつろ)いでいるユキが
今日に限って先に風呂に入ると言い、
さっさと部屋を出て行ってしまった。
仕事で何かあったのかな、
と思い気にはなったけど聞けない。
もしかしたら、
ただ単に疲れているだけで、
ソッとしておいた方がいいのかもしれないと思った。
それでも一緒に居るんだから少しは頼ってほしい。
もう少し私に弱音を吐いてほしいって思うのは贅沢な悩みなんだろうか。
まぁ、
それに関しては私も人のことは言えないから強くは言えないが、
それを寂しくユキとの距離を感じてしまう。
どうしたらこの“見えない壁”"をお互い取り除くことができるんだろう、
と最近よく思う。
でも結局のところ“他人”なのだから、
すべてを求めること自体が無理なのかもしれないとも思う。
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