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「そうだ。
今度一緒に飲みに行けばいいんだ」
一人の寂しさからつい独り言ばかりで、
声も大きくなってしまう。
でもその後の何とも言えない虚しさが胸を締め付け、
それを誤魔化すように私はビールを一気飲みした。
――…
―…
遠い意識で物音を聞いたような気がしたが
眠さから目を開けることができない。
でもフワッと甘い香りが鼻をかすめ、
同時に私の身体を引き寄せる力を感じた。
微かに香るアルコール臭と、
そして少し高めの体温に私は目を開けた。
「ユキ……」
目に飛び込んできたのはユキの横顔で私を抱き上げようとしていた。
でも私の声にその手は一旦止め、
視線を私に移す。
「ただいま。
こんなところで寝るなよ」
少し呆れたように言うユキに
飲みっぱなしの缶がテーブルに数本
置きっぱなしにしていたことを思い出す。
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