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「帰るね」
ちょっとだけのつもりが、
すっかり長居してしまい
ユキのことが気にかかっていた。
「ご飯食べて行けばいいのに、
お父さんも今日は早いわよ」
忙しく帰る準備をする私を引き止めるお母さんの言葉に動きを止める。
お父さん
――お母さん以上に苦手。
「ううん。
遅くなったし、
ユキが待ってるから」
一瞬、
迷ったが私は断り
「じゃあね」とまるで逃げるように家を後にした。
*
急に咲穂が家に行ってくると出て行ったきり、
なかなか帰ってこない。
せっかくの休み。
たまには二人でどこかに出かけようか、
それともゆっくりと部屋で過ごすかと思っていたのにアテが外れた。
昨日のこともあり、
出来れば一日中咲穂と過ごしかったのが本音。
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