1120人が本棚に入れています
本棚に追加
昔を思い出しながら俺は鼻で笑うように愛子に返す。
『友達にも色々いるでしょ?
それは私とユキの考え方の違いだと思うけど……。
じゃあ会うだけならいいでしょ?』
どう見てもこじつけのようにしか感じられない愛子の言葉。
何で愛子はここまで俺に拘るのかも分からないし、
聞いていて段々気分が悪くなってきた。
もう限界だった。
俺は愛子にキチンと分からせるために
「俺はもう前みたいに会うつもりはないから」
ハッキリとした口調で言い放つ。
さすがの愛子も、
これには返す言葉が見つからないらしく急に黙り込んだ。
色んな事を気にしすぎ、
避けることばかりしてきた俺。
避けることで“現在(いま)”を守れると……、
守ろうとしていた。
でもそれは間違いだったと今さら気づかされた。
こんな言葉ひとつで解決するなら、
もっと早くにキチンと言っておくべきだったと後悔さえした。
最初のコメントを投稿しよう!