信じる気持ち

16/31
前へ
/31ページ
次へ
昔を思い出しながら俺は鼻で笑うように愛子に返す。 『友達にも色々いるでしょ?  それは私とユキの考え方の違いだと思うけど……。 じゃあ会うだけならいいでしょ?』 どう見てもこじつけのようにしか感じられない愛子の言葉。 何で愛子はここまで俺に拘るのかも分からないし、 聞いていて段々気分が悪くなってきた。 もう限界だった。 俺は愛子にキチンと分からせるために 「俺はもう前みたいに会うつもりはないから」 ハッキリとした口調で言い放つ。 さすがの愛子も、 これには返す言葉が見つからないらしく急に黙り込んだ。 色んな事を気にしすぎ、 避けることばかりしてきた俺。 避けることで“現在(いま)”を守れると……、 守ろうとしていた。 でもそれは間違いだったと今さら気づかされた。 こんな言葉ひとつで解決するなら、 もっと早くにキチンと言っておくべきだったと後悔さえした。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1120人が本棚に入れています
本棚に追加