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「たいしたことないって……
本気で言ってるのか？」
どこか棘(とげ)を感じる愛子の言い方に
つい突っかかるように返してしまう。
『本気よ？
私は経験者よ？』
臆(おく)するどころか、
どこか挑戦的な口調で返してくる愛子に
ふと離婚したと言っていたことを思い出す。
そして、
もしかしたらそれが原因なのかと思えてきた。
でも、
出来るならあまり愛子に深入りしたくない。
だから離婚については触れないでおこうと思った。
「お前がそうだったからといって皆が皆そうだと決めつけるなよ。
俺は……
俺たちは今、
すごく幸せなんだから」
愛子に何があったのかは分からないが、
俺たちを一緒にしないでほしいと思った。
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