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『どうだろ。
結婚したからって安心しない方がいいよ。
案外脆いものなんだよ』
俺がいくら言っても
愛子はそれを否定するばかりで、
どこか投げやりな感じがした。
こんな投げやりな考えを持っている奴に
何を言っても無駄だと知っていた。
「だから決めつけるな。
俺と咲穂はそうならない!」
つい言葉に力がこもってしまった俺を
愛子は『熱くなり過ぎ』と微かに鼻で笑う。
もう愛子に何を言っても仕方ないと思った。
「もう切るな。
とにかくお前と昔のように会う気はないから、
もう付きまとうような真似はしないでくれ」
『後悔しても知らないよ』
言い捨て一方的に電話を切ろうとした瞬間、
愛子の言葉が耳に届いた。
その言葉が何を意味するのか聞こうとしたが、
俺の指はすでにボタンを押していて通話は切れてしまっていた。
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