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でも不思議そうに首を傾げる私の腕をとり隣に座らせ
「少し前に愛子から電話があったんだ」
愛子さんの名前に私の鼓動は跳ね、
速鳴りだす。
もう何にもないって分かっていても、
こんな緊張した面持ちでその名を口にされると気になってしまう。
「何か言われたの?」
私の第一印象ではそんなに悪い人ではなかった。
でもユキとの関係を知り、
悪いけど見方が少し変わってしまった。
愛子さんは同性にとって、
とても危険なタイプの女の人なんだと認識してしまった。
本当なら他人から聞いた話ではあまり人を判断したくないが、
ユキが私に嘘をつくわけはないし真実なのだとしたら、
つい警戒したくもなる。
「会いたいって……
言われた」
私の顔色を伺い、
躊躇(とまど)いながらゆっくりと話し出す。
――会いたい。
その言葉が胸に深く響き刺さりざわめく。
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