信じる気持ち

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「ただ、 愛子の様子が少し変なんだ」 私を抱き締めたままユキが呟く。 「変って?」 私はユキから少しだけ離れ顔を見て聞き返すと ユキは渋い顔を見せ、 言いにくそうに愛子さんの事を話し出した。 前は、 こんな風に執着してこなかった事。 どこか投げやりな感じがする事。 もしかしたら離婚が原因なのかもしれないという事。 ユキの話聞いて何となく納得でき、 そして愛子さんが可哀想に思えてきた。 ユキの予測があっているのなら多分、 愛子さんは旦那様をすごく愛していたんだと思った。 でも理由はどうあれ、 別れたからといってユキに来られても困る。 可哀想だとは思うけど、 同情は出来ない。 ユキで寂しさを埋めようとしても埋まるわけがないし、 余計に自分が傷つくだけだって知っている。 私も昔、 良平の時に同じような経験をしたことがあったから。
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