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私の中の考え方が少し変わっていったのだ。
両親にもちゃんと祝福されたい、
って。
そのためには、
まずはずっと避け続けていた
私から両親に歩み寄らなければいけないって思った。
そう思ったら居てもたってもいられなくなり、
私はこうして家に久しぶりに帰ってみることにしたのだ。
でも、
いざ家の前まで来ると、
さっきまでの勢いがどこに行ったのかと思うくらい
足がすくみ動けなくなってしまった。
何て言って入ればいいんだろうか、
何て顔をして入ればいいんだろうか、
何て……
そんな難しい事ではないはずなのに、
変に気を張ってしまい深く難しく考えてしまう。
でもユキの顔や話を思い出し、
勇気を振り絞る。
「ただいま」
私は深呼吸してドアをゆっくり開けた。
本当に遠慮がちに小さな声で言ったのに
「咲穂!?」
お母さんは驚いた様子で、
奥から慌ただしく姿を現した。
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