信じる気持ち

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私は久しぶりのせいか、 自分の家なのになかなか上がれない。 「おかえり。 どうしたの?  各務さんと喧嘩でもした?」 そんな私を上がるように促しながら 心配そうに様子を伺ってくる。 「喧嘩なんてしてないよ。 ただ、 たまには家に帰ってきてみただけ」 そりゃそうだ。 ユキと一緒に住むことになり、 出て行ったきり一度も連絡すらしなかった私。 そんな私が帰ってきたのだから、 そう疑われても仕方ない。 「お父さんは?」 リビングのソファーに座りながらその姿を探す。 「仕事よ」 お母さんはコーヒーを淹れながら答えると 少し苦笑いを浮かべる。 そして淹れたコーヒーを私に手渡すと まだ座るところがあるのに 何故か隣に腰を下ろしだした。
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