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でも私の考えが甘かったのかもしれない。
私なんかより愛子さんのことをよく知っている
ユキの言葉をもっと信じればよかった。
その日は珍しく残業で、
しかも容子との約束に少し遅れ気味で
約束のお店に急いでいた。
この間、
迷惑かけたお詫びに今日は容子が奢ってくれるとか。
あの日以来、
妙に過保護なユキはまた帰りに迎えに行くと言い出す始末。
うっかりその事を容子に言ってしまい惚気られたと、
からかわれてしまった。
「咲ちゃん?」
走る私の耳に雑踏に紛れ一瞬、
気のせいかな?
と思うくらい小さな声が届く。
反射的に足を止め、
その声の主を探す私の目に愛子さんの姿が飛び込んできた。
偶然?
それとも……。
一瞬、
疑いたくなるくらいの偶然の出会い。
よく急ぎ走る私に気づけた愛子さんに戸惑ってしまった。
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