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その傍らで愛子さんが恐る恐る小さな声で電話に出だす。
そして何度か頷いた後、
泣きながら「ごめんなさい」と謝る愛子さんの声が聞こえた。
多分、
旦那さんは離婚届を受理していなかったのだと思った。
嬉しいのに、
佐藤さんの事を考えるとすごく悲しい……。
そんな私のことを察したのか、
いつの間にかユキが隣に居て私の肩を優しく抱き寄せてくれた。
私はユキに体重を預けながら、
その胸にソッと頬を寄せる。
愛子さんはしばらく泣きながら旦那さんと話し続け、
携帯を切ってやっと佐藤さんが居ないことに気づいたようだった。
神崎さんが帰ったとことを伝えると愛子さんは沈んだ顔見せる。
そして何か言いたげに一度は口を開いたが、
すぐに思い止まり口をつぐむ。
そして自分を落ち着かせるように深く息を吐くと
「色々ごめんね、
とりあえず今日は帰るから。
また日を改めて
きちんと謝らせて」
愛子さんは微かに笑みを見せ帰っていった。
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