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「何で昨日のうちに決めとかなかったんだよ」
広げられたピアスに目を落とし、
咲穂に軽く注意を入れる。
「昨日まではちゃんと決まってたの。
でも美容院で頭をやってもらったら、
やっぱり違うやつの方がいいかな？
て思えてきて……」
今日の咲穂は今朝から……、
いや昨日からかなり騒がしかった。
別に自分の式でもないのに妙に緊張して寝れないだの、
スピーチを読む自信がないなど泣き言ばかりで、
多分昨日は殆ど寝ていないと思う。
今朝は今朝で自業自得なのに、
目の下にできたクマに大騒ぎして、
予約してあった美容院に遅刻しそうになりと、
俺までも咲穂に振り回され
朝からバタバタして落ち着く暇がなかった。
やっと美容院から帰り、
あとは大した準備もないと高をくくっていると、
この始末。
遅刻してしまったら、
もっと大変なのに動転し過ぎて
目の前も見えていない状態だ。
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