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多分、
自分が話を切り出したせいで
佐藤が悲しむ結果になったことのだと思っている。
「咲穂は何も悪くない。
あれで良かったんだ」
宥めるように優しく言葉をかける。
「本当?
でも佐藤さんが……」
咲穂が布団から少し顔を出すと不安気に俺を見てくる。
暗さに慣れた俺の目に涙で濡れた咲穂の顔が微かに見えた。
「仕方ないことだ。
佐藤だって話を聞いていて
薄々気づいていただろうし。
何より携帯に出るように勧めたのは
アイツ自身だ」
慰めるように咲穂の頭を撫でると
顔を歪ませながら俺に飛び付くように抱き着いてきた。
俺はそんな咲穂を泣き止むまで抱きしめ続けた。
※
ユキは気にしなくていいと言ってくれるけど、
本当にそうなのだろうか。
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