挨拶

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容子さんの結婚式から1週間後の日曜。 「咲穂、 もうそろそろ出ないと」 出かける用意をすると言い なかなか寝室から出てこない咲穂を急かす。 「待って、 もうちょっとだから。 そんなに慌てなくても 十分に間に合うから」 焦る俺とは正反対に 全く慌てる様子もないマイペースな返事が返ってくる。 「早くしろよ。 道が混んでいるかもしれないだろ」 言いながら俺は吸いかけてたタバコの火を忙しく消した。 容子さんの結婚式のおかげか 前ほど咲穂が佐藤たちの話題に触れないようになっていた。 俺も気にはなっていたが、 もう後は当人同士にしかどうすることもできないと 佐藤に愛子の事については触れないようにしていた。 容子さんの結婚式に感化され、 今は他人の事より延ばし延ばしになっていた俺たちの“これから”の事を 少しでも早くキチンとしたいと思った。 だから、 ずっと寄りつかなかった家や親父と面と向かう決心をした。
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