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「咲穂! 遅れるぞ」
一人ニマニマ笑っていると
玄関の方から急かすユキの声が聞こえ私を急かす。
我に返り時間を確認すると出発予定時間を少し回っている。
「あ、
はーい」
私は返事をしながら慌ててユキの元へと急いだ。
*
出掛けに慌てないように
一週間以上前から何やら忙しく準備をしていたと思っていた咲穂。
それなのに当日すっかり寝坊して朝からテンパっている。
土曜は会社が休みのため
携帯のアラームがセットし忘れたのが原因の一つ。
寝坊しないようにと
異常に早い時間にベッドに入ったくせに緊張していたのか、
なかなか寝付けずにいたのを俺は知っていた。
まぁ、
俺も軽く寝坊したのも悪いが、
男の準備なんて高が知れてる。
今日は咲穂を連れて行くから一応スーツを着たが、
所詮自分の実家。
変にかしこまる方が可笑しく感じ、
咲穂とは違い服装はあまり気にしていない。
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