対面

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ただ久しぶりに家に帰る事と、 親父と面と向かって自ら話さなければいけないことが気重に感じる。 でも咲穂の言う通り“結婚”とは当人同士の問題ではない。 俺がどう思われようがいいけど、 咲穂の事だけでも認めてほしい……。 受け入れてほしい……。 俺との関係がこんな状態では難しいとは思うけど逃げたくない。 車を走らせながら隣でカチコチに緊張しまくっている咲穂を盗み見る。 “そんなに緊張しなくていいから“ ――できるなら、 そう声をかけてやりたいけど、 俺自身のどこにも、 そんな余裕はなかった。 格好悪いことにハンドルが汗でジンワリと湿気っている。 これ以上、 咲穂を追い詰めないように俺は必死に余裕を装い続けた。 でも家に近づくにつれ自然とハンドルを握る手に力がこもり、 顔も心なしか強張ってきている気がした。 「ユキ……」 咲穂がハンドルを握る俺の手を包むように触れてきた。 我に返り咲穂を見ると心配そうな顔でこちらを見ている。 さっきまで、 あんなに緊張しまくっていた咲穂に心配されている俺。
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