対面

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咲穂の家での初めて呼ばれたご飯は俺に居心地悪さと、 どこか懐かしいような不思議な感覚を与えてくれた。 多少口は悪いが会話の絶えない、 笑顔の絶えない食卓。 これが俺の“家族”なんだと思うと嬉しくなった。 咲穂の温もりが俺の傷を癒してくれる。 咲穂が俺の心にポッカリ空いていた穴を埋めてくれる。 咲穂が…… 咲穂の存在が、 こんなに俺の中で大きく、 そして大切になるなんて出会った時には思ってもみなかった。 愛おしい…… すごく愛おしい…… 誰かをこんな風に想える日が来るなんて思わなかった。 離したくない…… 絶対に離したくない…… 咲穂は俺の家族を目の当たりにしても 同じように俺を想ってくれるだろうか。 今は、 それだけが不安で堪らなかった。 咲穂の家に行ってからは早く両親に会わせてしまいたい気持ちと 会わせたくない気持ちがずっとモヤモヤと渦巻いていた。 でも咲穂があの日以来、 俺の両親に会うのをかなり心待ちにしている。
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