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俺は仕方なく母親に電話し、
約束の日を詰めてもらった。
親父と俺がソリが合わないことは母親が一番よく知っている。
内容が内容だけに親父とぶつかるのは目に見えていて、
親父と会わせるのを絶対に渋ると思っていたのに、
案外あっさりと電話で日にち指定してきたのには驚いた。
しかも予想外にも今週末だった。
一瞬嫌な予感がして身構えたが、
こちらから聞いた手前断るわけにはいかない。
何より忙しい親父の都合に合わせないと
何時まで経っても咲穂に会わせることができなくなる。
母親には昼過ぎに家に行く旨を伝え電話を切った。
咲穂にそれを伝えるとすごく嬉しそうで、
そんな咲穂を見て少し複雑だった。
*
自分でも驚くくらい最近、
気持ちが穏やかだった。
すごく幸せだからだと思う。
ユキが私の両親に会いに来てくれ、
挨拶してくれたことがすごく嬉しかった。
『幸せにします』
――の言葉に感動した。
ドラマなんかで見るワンシーンが私の現実にある、
というくすぐったさ。
そして、
もっと先になると思っていたユキのご両親に会えるという嬉しさ。
でも嬉しさと同時に今までなかった緊張感が私を襲いだす。
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