対面

5/40
前へ
/40ページ
次へ
今の私にとって悪夢以外の何モノでもなく 目が覚めると嫌な汗をかいていた。 何故か私以上にユキが緊張というか、 どこかピリピリしているせいもあるだろう。 窓の方を見ると、 まだ薄暗く起きるには少し早いようだった。 ふと隣を見るとユキが、 気持ち良さそうに眠りについている。 その寝顔に私は気が休まるのを感じ、 ユキに擦り寄るように布団に横になる。 私に反応するようにユキの腕が動き、 私の身体を絡めとるように抱き寄せてくれた。 私はユキに擦り寄るように、 その腕の中に収まる。 ――不思議。 ユキの体温を感じ、 ユキの寝息を感じ、 数秒前は不安と緊張で溢れていた心が ざわついていたのに落ち着いてゆく。 眠ったらまた夢を見ちゃう気がしたけど、 ユキの体温が私の睡眠欲を誘う。 ゆっくりと…… ゆっくりと瞼が閉じ意識が遠退いてゆき、 私はまた夢の世界に戻っていってしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1046人が本棚に入れています
本棚に追加