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「時間が何よ。
休みなんだからもう少し……」
でも言いながら
自分が何か大切なことを忘れてしまっていたことを思い出し、
一気に血の気が引いてゆく。
慌てて頭の上の携帯で時間を確認すると私はユキの手を振り切り、
自らベッドを出た。
夢なら覚めて欲しい……
というより、
できれば夢であってほしいって真剣に願ってしまった。
頬をつねるなんて典型的なことはしない。
そんなことをしなくても、
これが現実だということが解るくらい私は動揺しまくっていた。
一瞬、
頭が真っ白になって何をどうしたらいいのか解らず、
無駄に辺りを見回していると
「咲穂!
まだ時間あるんだから落ち着け!」
私の動きを止めるように両肩をしっかりと掴み、
言い聞かせるように言いながら目線を合わせてきた。
そうだ、
落ち着かなきゃ……
ユキの声に何とか冷静さを取り戻した私は
自分を落ち着かせるように深呼吸をつく。
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