対面

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ここからユキの実家までは車で十五分。 五分前には着きたいから、 余裕もってここを三十分に出ればいい。 ということは三十分弱で準備を済ませなくてはいけない。 ご飯は食べる時間は到底ないが、 何とか間に合いそうだ。 「ごめん! すぐ準備するから」 冷静さを取り戻した私は時間を逆算して確認すると、 とりあえず洗面所へと向かった。 頭の中で整理はしたが、 やっぱり焦ってしまう。 挨拶の日は早く起きてホットカーラーで軽く髪を巻いて 見た目だけでも少しくらい清楚な感じを装いたいって思っていたのに…… 巻くどころか寝癖を直すのが精一杯な状態。 キチンとしたい時に限って私っていつもこんな感じ。 泣きたい気持ちをグッと堪え、 何とか寝癖を直し着替えるために寝室へと急いだ。 リビングを通り抜けるとき私とは正反対で、 すでに準備が整っているユキを見て更に焦ってしまった。 でも着ていく服やアクセサリーは、 ちゃんと用意してあったから、 そんなに時間をとられずに済んだ。 一週間以上悩みに悩んで結局買った 無難な淡いピンクのワンピース。
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