小さな落とし穴

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久しぶりの甘い時間に酔いしれるように 私はユキの首に腕を絡めように回そうと腕を伸ばす。 「風呂に入ってくる」 でもユキはサラリと一言いうと 私の腕をスルリとかわし離れていく。 驚いて身体を起こしながらユキを見上げると、 どこか勝ち誇ったような笑みを漏らしていた。 ――ヤラレタ、 と思った。 わざと私を煽り、 お預けを食らわせたのだと気づく。 「俺を放っておいた罰」 意地悪な笑みを浮かべながら嬉しそうに言うユキに 恥ずかしさを感じながらもムッとする。 「別にそんな気ないもん」 私はそっぽを向きながら微かに乱れた髪や服を整えた。 「先に風呂入ってくるから待ってて」 楽しそうに笑いながら言うユキに 「別に待ってないからね」と強がりを口にする。 そんな私を見てユキは尚も笑いながら 部屋を出て行ってしまった。
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